コミックコーナーのモニュメント

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ダンジョン飯6巻 感想【ネタバレを含みます】

 


 仲間を連れてきたシュローと、何やら企んでいそうなカブルー一行と合流したライオスたち、ダンジョン飯
6巻の感想です。

 

意外と愉快なシュロー一行。マイヅルさんがかわいい。

フラフラのシュローにご飯を食べてもらいがてら状況を説明しようということになりますが、シュローの従者筆頭のマイヅルさんがかわいいです。5巻の登場シーンでは冷たい印象でしたが、シュロー絡みだとコロコロ表情が変わります。

嬉しそうにシュローに食べさせるご飯を作ったり、聞かれてもいないのにシュローの子供の頃の話を始めたり、他のお供の人たちもマイヅルさんとセンシの会話に頭の中でツッコミを入れたりと、思っていたよりも愉快な人たちの様です。

しかし、ファリンの蘇生に黒魔術を使ったという話をライオスがシュローにしてしまったことで、一気に緊迫した空気に。どうやら、黒魔術は相当まずいものだったようです。

一行の空気が険悪になる中、狂乱の魔術師の手によってキメラとなったファリンが迫ります。

 

キメラファリン戦、ライオスとカブルー

 以前、ファリンが狂乱の魔術師に支配されている様子や、狂乱の魔術師がファリンのことを「竜」と呼んでいたことから、てっきりファリンはレッドドラゴンにされたものだと思っていたのですが、今回キメラの姿でライオスたちの前に現れます。

 その姿はまさに異形。

レッドドラゴンよりも小型で細身だけれど十分な巨体で、足回りは鱗に覆われ鋭い爪が生え、胴体に羽毛、背中に羽の翼をもつモンスターの首の部分から、ファリンの人間の上半身が生えています。

その登場シーンもいい雰囲気が出ていました。

ハーピーを迎撃するために出ていたシュロー配下のニンジャたちがいきなり瞬殺され、ニンジャが落ちてきた方を見上げると、異形と化したファリンが城壁の上に佇んでいる。みんな目の前の現実が信じられず、息をのむという構図です。

しかし、ライオスだけは反応が違いました。

目の前の現実に息をのむのは同じでも、「まさか、そんな……なんだそれ……!」というセリフの後に続いたのは、「すごくかっこいい……」という感想でした。

ライオスはやっぱり何処かがおかしいです。

生死不明だった妹がキメラになって目の前に現れたら、もう少し別の反応をするべきだと思います。

さすがにこのタイミングでボケるとは思いませんでした。まあ、巨大な異形の獣に人間の上半身が組み込まれているデザインの格好良さは理解できますが。

それはさておき、キメラファリンは容赦なく襲い掛かってきます。

ファリンを気遣って攻撃できないライオスたちとシュロー一行、逆に容赦なく攻撃するカブルーパーティー。しかし、竜の尾で薙ぎ払い、怪力と巨体で押しつぶし、強力な呪文まで使うキメラファリンの前にどんどん被害は広がっていきます。

この戦闘シーンではカブルーとライオスの戦い方が対称的です。

カブルーは鎧を脱いで身軽になり、彼の仲間の魔法で体勢が崩れ、さらにライオスに気を取られていたキメラファリンのファリンの部分に背後から組み付き、ナイフで喉、肺、腎臓、心臓と徹底的に人体急所を刺していきます。

しかし、キメラファリンは死なず。カブルーは投げ落とされて、地面にたたきつけられます。

ライオスはドラゴンの足の指、恐らくは神経の固まっている部分を攻撃し、キメラファリンが怯んだ隙にカブルーを救出しました。

カブルーが人体急所を理解した人間を殺すやり方で、ライオスが魔物の体の構造に関する知識を使った戦い方です。

この2人は以前から、対極と言うべきか、正反対の共通点とも言うべきものを多く持っている印象でしたが、今後も2人の共通点・正反対の部分が話に絡んでくることがありそうです。

2人とも一般人とは一線を画する感性や思考を持っている点も共通です。カブルーは何やら闇の深そうな笑みや表情を見せる場面が多いですが、ライオスも何処かがおかしいということでは負けていません。

特に今回のキメラファリンを前にして尚、魔物好きの顔が前面に出てくるのは十分おかしなことだと思います。

戦っている間にも「すまないファリン。変われるものなら俺が代わってやりたかった」というセリフがありました。

真面目なシーンで、ライオスも真面目な様子で言っているセリフなのですが、妹の身を案じる兄としての言葉というだけではなく、かっこいい魔物が大好きなモンスターマニアとしての本音が、このセリフの成分に含まれているという確信が持てます。

結局、一行に甚大な被害を出した後、キメラファリンは逃げていきました。

 

マルシルの秘密とナイトメア

睡眠中に夢魔に囚われたマルシル。キメラファリンの一件からか、精神的に弱っていたようです。

以前、ファリンがやっていた方法を真似て、ライオスが救出に向かいますが、やはりライオスは常人離れしています。

 夢の中に入った直後こそ、ライオスの嫌な物がいろいろと立ち塞がりますが、自分が夢の中にいることを思い出してからは、まさにやりたい放題。

夢だとわかっていてもここまで好き勝手出来るのは、ある種の特殊技能だと思います。

「俺の考えたかっこいい魔物」的なものを召喚して自分の嫌な物たちをまとめて押しつぶし、犬(本人的には狼)に変身して、自分の夢の底を掘ってマルシルの夢に移動と、夢の世界での立ち回りが手馴れています。

マルシルの夢の中で幼いマルシルと出会うライオス。恐怖や心の傷が様々な姿で表現される夢の世界で、それらの正体を推理しながら立ち回る展開は面白かったです。

細かい部分ですが、宙を飛んでいる本や、何処からか響いてくる揺れや、異音など、適度に不思議かつ適度に不気味なマルシルの夢の世界の雰囲気が好みでした。

「私はみんなと走る速さが違うんだって」というマルシルのセリフの意味も気になります。

先祖返りで人間の親からエルフが生まれたというケースや、取り替えっ子(チェンジリング)の可能性も考えました。

しかし、チルチャックとの年齢に関するやり取りや、今までの会話から考えても、マルシルの両親はエルフであるのは間違いないと思うのです。

エルフの中でも特別な血が強く出たということなのかもしれません。

全く別の場面ですが、39話でのやり取りで、大昔には今よりも長寿のエルフの記録があったという会話があり、この辺りが怪しいのではないかと思いました。

マルシルの夢の最後にも、狂乱の魔術師が持っていた魔導書が出てきましたが、まるで本がマルシルに興味を持ったかのように見えました。何にせよ今後の展開がとても楽しみです。

 

 

他にもライオスとシュローの本音のぶつけ合いに、絵面からして面白かったシェイプシフター、以前から言われていたライオスの特技の披露、シュロー一行から足抜けしたアセビの正体と、今回はいつにもまして読み応えがありました。

ライオスたちと袂を分かち、国に帰るというシュロー。

もはや単なる興味の対象ではなく、ライオスの強みをしっかりと理解した上で、自分にとっての脅威と認識したカブルー。意味深な言葉を残しているのも気になります。

黒魔術のことがばれて、ライオス一行は地上に帰りづらくなりましたが、今回地上に持ち帰られる情報で、ダンジョンの外でも動きが起こりそうです。

物語が大きく動きそうで続きが楽しみです。