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今の彼らに至るまでの彼らの物語 : ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン レビュー

 

タイトル:ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン

  作者:(漫画)栄田健人(原作)蝸牛くも(キャラクター原案)足立慎吾/神奈月昇

  年代:2018年~

  巻数:既刊12巻

 

あらすじ・概要

 その日、1つの村がゴブリンの群れによって滅びました。

 数に任せて襲い、残虐の限りを尽くすゴブリン達。

 村が滅びても、その国の王様は村の名前を知る事すらありませんでした。

 そんな中でただ1人生き延びた少年。最愛の姉を失い、故郷を滅ぼされた彼は、消えない怒りを胸に剣を取ります。

 これは少年が家族と故郷を失った惨劇の夜から始まるお話。

 彼がやがて「ゴブリンスレイヤー」と呼ばれるようになる物語。

 ダークファンタジーである『ゴブリンスレイヤー』の外伝にして前日譚です。

 

ゴブリンスレイヤー』についてご存じでない方は、こちらの記事に簡単な説明がありますので、宜しければご覧くださいませ。

manga-isibumi.hatenablog.jp

 

 

漫画としての演出力・表現力も十分な外伝エピソード

 ダークファンタジーゴブリンスレイヤー』本編開始時よりも、5年程前のゴブリンスレイヤーの新人時代の物語です。

 物語の冒頭はそこからさらに過去、ゴブリンスレイヤーの故郷の村がゴブリンの襲撃を受けた日の話から始まり、彼がどのように生き延びたのかも語られます。

 1人の少年が、最愛の姉と、故郷を失った時の出来事から始まり、その5年後に復讐者となった彼が、冒険者登録をして、装備を整え、初めてのゴブリン退治に挑み、ゴブリン退治を繰り返しながら後の「ゴブリンスレイヤー」になっていく物語です。

 本編とは作画・漫画担当者が変わり、こちらは栄田先生の作画となりますが、漫画としての画力・演出力・表現力ともに満足のいく出来栄えでした。

 ゴブリンスレイヤーだけではなく、5年前の牛飼娘や、新人時代の受付嬢も登場するので、本編の時代の姿とは違う彼らを見ることができます。

 既に本編を読んでいる人は、後の姿に通じる部分に納得することもあれば、意外な姿に驚くこともあるかもしれません。

 特にゴブリンスレイヤーと牛飼娘の2人については、この過去のエピソードを知ることで、本編の2人から感じる印象が変わる人も多いのではないでしょうか。

 個人的には、時系列順の①イヤーワン、②ゴブリンスレイヤー本編の順番ではなく、①ゴブリンスレイヤー本編、②イヤーワンの順番で読むことをお勧めさせていただきます。ある程度『ゴブリンスレイヤー』本編を読み進めてからの方が、登場人物の現在と過去の姿のギャップを楽しむことができると思うためです。

 注意点は本編同様に、残酷描写が多いことです。弱い立場の者を甚振って悦に浸り、他種族の女性を攫って殖えるゴブリンの生態に加え、イヤーワンはゴブリン関連以外でも残酷な場面が多めになっています。

 

こんな人にオススメです。

  • ゴブリンスレイヤー本編を読んだ人で、ゴブリンスレイヤーや、牛飼娘の過去や、新人時代の受付嬢に興味がある人。
  • 「タガが外れて」しまって突き抜けた復讐者と、その背景にある等身大の心情がしっかりと描かれた骨太のダークファンタジーが読みたい人。

 

こんな人にはオススメできません。

  • 細かい心情描写や、物語の行間を読むのが苦手な人。
  • 残酷描写・凄惨な場面が苦手な人。