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その日、少年が拾ったのは、とてもかわいい猫のような何か : 猫のようなナニカ レビュー

 

タイトル:猫のようなナニカ

  作者:アヅミイノリ

  年代:2020年~2021年

  巻数:全2巻

 

あらすじ・概要

 小学6年生の江巳安連夜(えみあれんや)。

 ある雨の日に、彼が拾ったのは一匹の黒猫。

 ではなくて、猫の様で猫じゃない謎の存在でした。

 心優しい少年と、猫の様で猫ではない謎の生き物との交流を描く、ハートフルコメディです。

 絶妙に読者の予想を外してくる「何か」と、そんな何かを受け入れる器が大きすぎる少年の日常が楽しめます。

 

猫の様で絶妙に猫ではないナニカ

 連夜少年が拾ったのは、猫のような姿で、その実、違和感と突っ込みどころ満載の謎の存在でした。

 天井に張り付くのは序の口。明らかに口ではない箇所で謎の咀嚼音を立ててメロンパンを食べ、触ってみると、もさもさの毛の下には口も足もありません。そして、想像を絶する生態と、特殊能力の数々が明らかになっていきます。

 しかし、猫を飼ったことのない連夜少年は、その時々で突っ込み、多少疑問に思いつつも「猫ってこういう生き物なんだね」と受け入れてしまいます。

 読者はそんな少年と、「ナニカ」と名付けられた猫のような何かに終始突っ込み続けることになります。

 途中までは「猫あるある」の様で何かがおかしかったり、最初から露骨な突っ込みどころしかなかったりする場合もあり、逆に何か起こると思わせぶりな所から想定外に普通なオチがついたりすることもあり。

 いずれにしても、常にこちらの予想の斜め上を突いてくるナニカに、飽きることなく読み進めることができます。

 円ら過ぎる瞳で「じ…」と少年を見つめるナニカがかわいい。謎が謎を呼ぶナニカの生態が面白い。驚きのあまりの思考停止か、はたまた天然か、少年の真っ当な様で所々ズレたリアクションも面白い。そんな漫画です。

 ちなみに、通常書籍版はA5判の大きめサイズで、カバー表面に面白い加工がしてあります。

 

こんな人にオススメです。

  • 猫好きの人。
  • 猫漫画は好きだけれど読み飽きたという人。猫飼いエッセイ漫画の様でそうじゃない何かを読んでみたい人。

 

こんな人にはオススメできません。

  • あくまでも、実際の猫の飼育に関するエッセイが読みたい人
  • ナニカ本体以外の違和感が気になってしまう人。※周囲の大人は何故疑問に思わないのか等