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『この愛は、異端。』の前日譚。淑乃の知らないバアルの戦い : この愛は、異端。-ベリアル文書- レビュー

 

タイトル:この愛は、異端。-ベリアル文書- 

  作者:森山絵凪

  年代:2020年

  巻数:全1巻

 

あらすじ・概要

 家族のような無償の愛を求める天涯孤独の少女・淑乃(よしの)。その淑乃と契約した愛を知らない悪魔ベリアル(愛称はバアル)。

 18歳になった淑乃は京都・奈良への修学旅行に行くことになりましたが、そのことでバアルには、ある気がかりがありました。

 人間と悪魔の拗れてもどかしい恋物語である『この愛は、異端。』の前日譚にしてスピンオフ。淑乃の知らないバアルの戦いが描かれます。

 

『この愛は、異端。』についてご存じでない方は、こちらの記事に簡単な説明がありますので、宜しければご覧くださいませ。

 

manga-isibumi.hatenablog.jp

 

 

漫画もカラーイラストも素晴らしい仕上がり

 作品概要でも触れた通り、『この愛は、異端。』本編の前日譚であると同時に、バアル寄りの視点でのスピンオフとなっています。

 この漫画の物語は、本編の物語の核心に触れる内容なので、そちらをまだ読んでいない方が読むと盛大なネタバレとなってしまいますのでご注意ください。

 描かれている物語の時系列としては、淑乃18歳の夏から、物語開始直前までの内容であり、エピローグのみ本編3巻終了後のお話です。※オマケ漫画はもっと昔のお話です。

 淑乃の楽しげな修学旅行や、淑乃の知らないバアルの戦いのエピソードに、淑乃の美大合格後の一幕なども描かれています。

 本編では僅かしか描かれなかった神霊の世界や、本編開始時の状態に至るまでのバアルの内面も描かれています。

 本編におけるバアルの心理を補完する物語として見ることもできそうです。

 森山絵凪先生の緻密で迫力のある絵と、丁寧な心理描写で紡がれる物語は相変わらず見応えがあり、官能描写の艶めかしさや、人ならざる者の世界のおどろおどろしい迫力も十分です。

限定版には「小画集・四季繚乱」が付属

 紙書籍版、電子書籍版ともに、通常版と限定版があります。

 限定版には「小画集・四季繚乱」が付属。

 カバーイラストが一枚絵になっているものや、本編の雑誌掲載時のイラスト、ベリアル文書の扉絵や、描き下ろしも含め、カラーイラストが30点以上収録されています。色使いも素晴らしいので、森山絵凪先生の絵が好きな方にはぜひ見ていただきたいです。

 見開きで一枚絵になっているものもあったので、本来の書籍以上の画面サイズおよび十分な解像度で電子書籍を見ることができる環境の方には、電子書籍の限定版をお勧めさせていただきます。

注意

 通常版と限定版での表紙の違いなどがないので、購入時はどちらを選ぶ場合でも間違えのないように注意した方がいいかもしれません。

 

 

こんな人にオススメです。

  • 『この愛は、異端』本編を3巻まで読んだ人。2人の物語をもっと読みたい人。
  • バアル側の物語や、『この愛は、異端。』本編ではあまり描かれなかった神や魔の世界が見てみたい人。

 

こんな人にはオススメできません。

  • 『この愛は、異端。』本編を読んでいない人。本編3巻の終わりまで読んでいない人。※特大のネタバレになります。
  • 『この愛は、異端。』が好きではない人。