コミックコーナーのモニュメント

「感想【ネタバレを含みます】」タグのついている記事はネタバレありの感想です。 「漫画紹介」タグのついている記事は、ネタバレなし、もしくはネタバレを最小限にした漫画を紹介する形のレビューとなっています。

血の通った人肌の温度の鈍器で心を殴られるかのような漫画:ヤサシイワタシ レビュー

 

タイトル:ヤサシイワタシ

作者:ひぐちアサ

年代:2001~2002

巻数:全2

 

作品概要

 子供のころから続けてきたテニスの選手生命を身体の故障によって失った青年・芹生弘隆。

 積み重ねてきた努力の分だけ、期待されて多くのものを注ぎ込まれた分だけ、大きな挫折を味わった彼が、大学の写真部で出会ったのは、部の要注意人物こと唐須弥恵。

 お互いに惹かれて恋人関係になった2人ですが、弥恵の抱えている問題は、単なる性格の問題と片付けられるほど軽いものではなく、2人の恋は次第に雲行きが怪しくなっていきます。

 この漫画は「生と死」の物語とも言えます。

普遍的で、誰の近くにもありながらも、重たくて目をそらしたくなるテーマに対して、正面から向かい合った漫画です。

 

重たいテーマを真摯に描くと、とんでもないことになる

この漫画は『おおきく振りかぶって』で有名なひぐちアサ先生の作品です。巧みな心理描写や、所々の妙に細かくもリアルな日常描写など、漫画の作り方に共通する部分もありますが、物語としては全く別の方向性のものです。

明るく楽しい漫画、あるいは、さわやかな気分になれる漫画を求めている人は手を出さない方が賢明です。はっきりと言うと、ものすごく重たい漫画です。

 漫画としては面白く、興味深い内容なのですが、話の内容が暗いうえ、とても重たいです。

 物語の前半部分と後半部分が、それぞれ別の種類のストレスの塊です。作品のテーマ的には後半部分がメインと言えるかもしれませんが、前半も重めです。

何がどのようにストレスなのか、どのようなテーマを扱っているのかという話が、すでにある種のネタバレになってしまうため、ここでは深く触れることができません。

登場人物たちの心理や人間性がしっかりと描かれている分、なおのことずっしりとしています。

今現在、気分の落ち込んでいる人は読まない方がいいでしょう。

落ち込んでいない人も、口直し用の明るい漫画を用意してから読み始めた方がいいでしょう。
 
ここまで書いておいて何ですが、覚悟のある方には非常にお勧めしたい漫画です。

補足

上の紹介だけだと意味不明であるという方で、ネタバレOKの方は、下の記事の「弘隆と弥恵」の項目を読んでいただけると、どんな漫画か、漫画紹介なのにどうして作品のテーマを伏せているのかをご理解いただけると思います。

こんな人にオススメです。

l  重たくても、暗くても、心に響く漫画を読みたい人。

l  作者が実際に体験したという衝撃を漫画で追体験したい人。※漫画自体はフィクションです。

 

こんな人にはオススメできません。

l  話が重たい漫画は読みたくない人。

l  現在気分が落ち込んでいる人、口直し用の明るい漫画に心当たりがない人。